少子化の問題(1)過疎化

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進行する過疎化

 

 コロナ禍で、都市への人口集中が止まる❢とか、言われますが、実際には少子化が進む中で、都市人口、特に東京への一極集中に歯止めが掛かるとは俄には信じられない状況です。

 全体のパイ(全人口)が減っている中で、都市の人口が増えると言うことは、一方で確実に人口を減らしている地域があります。それが「過疎化」への道ですね。

 地方に行って、少し寂れていると「過疎ってる」と気楽に言ってしまいますが、「過疎」には法律的な定義があることはご存知でしょうか。

 この法律は「過疎地域自立促進特別措置法」、略して過疎法と呼ばれています。

また法律の定義については、全国過疎地域自立促進連盟が詳しく説明をしているので、ご一読をいただければと思います。

 連盟は過疎地域市町村及び過疎関係都道府県が会員として構成していて、法律に基づいた過疎対策を協議するための機関なのでしょう。

 そして、このサイトと法規を読みすすめるに連れ、ちょっとした疑問が湧いてきました。

 まず、私達は「過疎地」というと見た場所の周辺で判断しますが、法律では「過疎地域市町村」として定義されています。つまい市町村の単位で把握がおこなわれているのですね。

 単純に疑問に思ったことは、平成の大合併など、行政単位の合併が相次いだなかで、新しく誕生した政令指定都市の中にも、かなり人の少ない区域があったりするのですが、これについては

過疎地域市町村の要件・過疎地域とみなされる市町村の要件ともに該当しない場合でも、その新市町村のうち合併前に過疎地域であった旧市町村の区域は過疎地域とみなされます。

と同法第33条第2項で定められているので、一定のすくい上げはあったようです。また、対応当局は総務省となっていて、そのレポートが「平成 28 年度版 過疎対策の現況
( 概 要 版 )
」として公開されています。

 この中で

過疎地域の人口は全国の 8.6%を占めるに過ぎないが、市町村数では半数近く、
面積では国土の 6 割弱を占めている。

 との記述が目に付きます。これが内陸国ならまだしも、日本は多くの島嶼で構成されているのですから、深刻な状況なのはお分かり頂けると思うのです。

 人が少ないだけではなく、これらの人の高齢化も同時に進んでいます。同レポートの中では対象の市町村も財政基盤が弱く、また医療や社会サービスは都市部に比べて格差があるのも現状です。

 そして私には少し怖く思えるのが下のグラフです。

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産業の推移

 全国平均と過疎地域での人口と産業構成比を示したグラフです。人口が全国平均よりも大きく減少していることは既述ですが、第一次産業が大きく減少している状況です。何故、このグラフに恐怖を覚えるのか?

 第一次産業として示されるところで想像するのは農林業です。従来から言われている世に植林地や里山の荒廃は林業従事者の減少に伴っています。一方、農業も過疎地では特に畑作が多いと思うのですが、これも耕作放棄して荒廃してきている様は、例えば「ポツンと一軒家」などの田舎の風景を映し出す番組で見て取ることができます。それが1例ではなく全国的に起きている状況です。単に耕地が山に帰っていくだけならば良いのかもしれません。しかし、実際には付近の山林を含め整備が滞り、一旦、地崩れが起きて道路が寸断されれば、集落が長期に亘って孤立化するなど更に不便な生活空間になってしまうことが想像できます。これが過疎化の加速度を上げる要素になっているかと思うと、この従事する産業の変化が、状況の悪化を示しているような気がして仕方ないのです。