コロナ禍で学習している社会
コロナ禍で一般的には「景気の冷え込みが」と言われている昨今です。
ところが、一方ではECなどが活況を呈し、キャッシュからキャッシュレスの決済が増えています。
またリモートワークの範囲が増えているのも確かでしょう。
続きを読む少子化の問題(2)高齢化の高止まり
「少子高齢化」と言われて久しい日本です。が、高齢化もいつかは止まる、どこかで平均化すると考えていらっしゃらないでしょうか。
下は内閣府が公開している「令和2年版高齢社会白書(概要版)」の中にあるグラフです。
このグラフ、全体には棒グラフのカマボコのような傾向が目立ちます。が、少し視点を変えると折れ線グラフ、特にひたすら右肩上がりになっている赤い線が目立ってきます。これが「高齢化率」です。グラフは令和47年までをカバーしているので、上昇は徐々に緩やかになるものの、高止まりしたまま平板や下げる傾向は全く見えてきません。
これのうち現状を国際比較すると下の「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(総務省統計局)
現状、日本が群を抜いて高齢化率が高いことが判ります。が、ここで書かれている
主要国における高齢者の就業率を10年前と比較すると、カナダは+4.9ポイント、イギリス、ドイツ及び日本は+3.3ポイントと、各国共に上昇しています。2017年の日本の高齢者の就業率は23.0%となっており、主要国の中で最も高い水準にあります。
と、一般の生産年齢よりも高い年齢層が生産活動を行っていることが判ります。
これにはポジティブ・ネガティブ両面があると考えます。
ポジティブな面として、高齢者が年金や福祉など社会サービスを一方的に享受する状況になっていないことが挙げられます。確かに年齢が高くなるに連れ、医療や福祉サービスを受ける率=費用が高まります。が、これに対して高齢者自身も負担を行っていることになるのです。
一方、ネガティブな面として、高齢者になって「悠々自適」といえる状況では無いかもしれないということです。
「勤労する」ということが「余暇半分、働くこと自体が楽しい」のならばネガティブではありません。が、「働かなくては食べられない」のであれば、非常に辛い状況でしょう。欧米の場合、早期にリタイヤして年金生活に入ることが憧れられるのとは違い、日本独特の文化が反映される統計になっているので、判断が難しいところです。
但し、先程も書いたように「社会サービスを一方的に享受する高齢者」というステレオタイプな像が現実とは多少なりとも乖離している状況が今の日本だということになりますし、必ずしも少子高齢化が「ネガティブ一方」とはなっていないと思うのです。
少子化で日本が終わる?とりあえず他国と見比べる
さて前回、日本の初婚年齢が年々、遅くなっていることを取り上げました。
これはGlobal Noteで「世界の男性結婚年齢 国別ランキング・推移」として記載されているグラフです。
表を見れば分かる通り、日本の初婚年齢が特段に高い。とは言えない事が明らかです。逆に「ヨーロッパ諸国は、移民を受け入れることで少子化、人口減対策を行っている」とか「日本と海外とでは結婚制度が違う」などの異論はあるでしょう。
ただ、もともとが出生率(数)に関わる比較として取り上げましたので、出生率自体も見ておく必要がありますね。御存知の通り、メディアを中心に日本の合計特殊出生率が非常に低いと言われています。その数値は2019年の統計で1.36。平たく言えば、一組のカップルから1.36人の子どもしか産まれないことになりますから、自然に人口は減少トレンドになります。「だから日本は終わるんだ」というのは、やはり早計に思えるので、こちらも若干古い統計ですが、同じくGlobal Noteから「世界の合計特殊出生率 国別ランキング・推移」を引いてきました。
スウェーデンをはじめ全てとは言えませんが、少子化の傾向はヨーロッパでも顕著に見えますし、結婚年齢が日本よりも高い国で深刻さが重大になっているように見えます。
特にフィンランドは、小国で初婚年齢は日本よりも遅く、合計特殊出生率は日本よりも低い国ですが、一人あたりのGDPは7.5万ドル、世界9位になっています。これは日本の概ね1.25倍となっています。これも単純に考えてみれば、フィンランドの友人とニューヨークで落ち合って、食事をすれば彼らは私達よりも2.5割は良いものが食べられるわけですね。それにサラリーマンの給与で考えてみれば、今、1.25倍も給与をあげようと思ったら、人並み外れた運と実力が求められそうです。
そして、この事から、少子化に苦しめられて日本は終わるという事が、やはり信じられないのです。