フィンランドと日本の違いを考える

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多民族…

 前回、フィンランドが日本以上の晩婚化・少子化に陥りながら、日本よりも一人当たりのGDPが高い状況だということを書きました。

 

  単純に「日本人が下手くそなんだ」という結論にはならないので、それを今回は描いていきます。

 まずフィンランドの人口減少対策です。これは単純に「移民の受け入れ」にあるようです。ただ、一般の欧米に見られるような「労働力」の受け入れよりも先に、まずは難民を受け入れるという人道的観点が強かったようです。ただ、この結果として他の北欧諸国と同様の手厚い福祉サービスを目論んだ移民が増え、福祉行政が崩壊直前です。そのため、移民のターゲットが他国と同様の高度人材に移す方向に変わったようです。

 この状況、日本も非常に似ている部分がありますね。この数年「高度人材の受け入れ」が声高に言われていますが、農業や漁業の「技能実習生」という形が中心でしたし、日本に住んでいる外国人が呼び寄せたご家族が働くなどして、比較的専門性の低い労働力化していた実態があります。

 この中には実態は「短期滞在」であっても日本の社会保険制度を利用して高度治療を受けるなどフィンランドと同様、福祉サービスの取り合いが起こり始めていることは多くの方がご存知のことかと思います。

 では、少しフィンランドから離れてしまったので、少し戻ります。

 このような不満を背景に(おきまりの)「極右の台頭」が懸念されているようです。が、少しこの定型句に疑問を持ちました。というのは、この極右の中には「自警団」が含まれており自警の対象は移民だというのですね。そして、正確な統計を見つけることができませんでしたが、一説には外国人(移民を含む)の性犯罪などがフィンランド人のそれよりも高い水準にあると言われているようです。つまり、社会的なサービスを受けられない不満よりも、犯罪の恐怖と言う一面が今現在のフィンランド社会を支える柱「移民」の陰として存在しているようです。メディアの多くは、フィンランド国民が彼らを冷ややかな視線で見ていると伝えています。が、一方で、移民に対して厳格化を求める政党が総選挙のたびに得票率も議席も伸ばしています。

 フィンランドが難民から高度人材にシフトさせながら、移民を継続的に受け入れるのか、それともトレンドの通りに次第に厳格化していくのかは判りません。しかし、無作為に移民を推し進めているだけでは、経済の維持発展は困難な状況に入っているようですし、その経済を享受するための治安や安全性、そして福祉サービスが破綻してしまっては本末転倒なのではないかとも思うのです。